相続財産(遺産)の使い込みが疑われる場合の遺産分割

相続財産の使い込みのよくあるケース

相続財産の使いこみで最も多いのは、相続人の一人が、親(被相続人)の預金を勝手に引き出す、というケースです。預金以外では、被相続人名義の不動産や株式などを勝手に処分するといった事例もあります。

被相続人が亡くなり、遺産分割に向けて相続人間で協議をしていこうという場面になって、相続財産の使い込みが発覚することが多いです。

 

特に、被相続人が晩年、判断能力が低下し、自分で適切に財産管理できなくなったのをよいことに、同居している子供(相続人)が無断で預貯金を下ろし、このことが後日相続人間の争いに発展する事例は枚挙に暇がありません。

 

被相続人地震による財産管理が困難な場合、相続人の一部だけが被相続人と同居していた場合などは、使い込みが起こりやすいと言えるでしょう。

 

相続財産の使い込みの具体例

預金の使い込み

たとえば、親と同居している子供が、親の生前に、親名義の口座から勝手に預貯金のほとんどを引き出してしまっているようなケースです。

 

不動産などの財産の売却

例えば、親の実印と権利証を勝手に利用して、同居する相続人が勝手に不動産を売却し、代金を自分のものにしてしまうケースです。不動産以外では、株式を売却したり、出資金等の払戻しを受けてしまったりする事例、高級な絵画や貴金属等などの動産類を売却してしまう事例も考えられます。

 

生命保険の解約

親が加入する生命保険を勝手に解約し、解約返戻金を自分のものにしてしまうケースです。

 

相続財産を使い込まれたときの対処方法

 

相手方に直接返還を求める

まず、被相続人の通帳の履歴や、被相続人宛の郵便物などを可能な限り収集して、コピーを取っておくなど、証拠となるような資料を取得しておくようにします。

また、通帳の入出金履歴に保険会社や証券会社等への引き落としがある場合、これが生命保険や有価証券等を発見する手掛かりになることがあります。また、保有不動産(被相続人が生前住んでいた自宅等)が一つでも判明していれば、共同担保目録や名寄帳等などから、他の不動産の存在が明らかになることがあります。

 

さらに、相手方から「預金の引き出しは被相続人自身がやったことだ」という反論がなされた場合に備え、生前の被相続人の心身状態に関する資料を早めに取得しておくことが賢明です。例えば、被相続人が入通院していた場合には、カルテ等の医療記録について病院に開示を求めることになります。他にも、疑いのある出金が行われた時期に、被相続人が外を出歩ける状態であったかどうか、近所の人に聞き込みをするという方法もあります。

 

以上の調査をふまえたうえで、例えば預貯金の使い込みが疑われる被相続人に対しては、出金の理由や使途、出金をしなければならない事情などを問い合わせ、これに対して合理的な回答が無い場合には、返還を求める事になります。

 

多くの場合、「使いこみなどしていない」、「自分は適切に金銭管理をしていた」、あるいは「自分は金銭管理に関わっていない」「出金は被相続人自身が行ったもので、自分は知らない」などと主張して、自己の行為を正当化してくることがほとんどです。

こうなると、お互い引くに引けなくなり、感情的対立も相まって、激しい争いに発展してしまいます。
そのため、相続人同士の協議や、調停手続によって解決することが難しく、裁判までしなければ決着がつかないことも多いのが実情です。

 

遺産分割調停では解決できないことが多い

遺産の使いこみが発覚し、相手と話合いをしても解決できなかった場合には、どのように対応したら良いのでしょうか?

 

この場合、遺産分割調停による解決を考える方が多いと思います。

 

しかし、実際には、遺産の使い込み問題が遺産分割調停で解決に至るケースはまれです。

 

遺産分割をするためには「遺産の範囲」を確定させる必要があります。

遺産分割は、「確定している遺産を相続人が分け合う」手続であり、

遺産の範囲自体について相続人が共通認識を持っていなければ進めることができません。

 

ところが、遺産の使い込みで揉めているということは、遺産の範囲自体に争いがあるということですから、家庭裁判所としては遺産分割を進めることができず、3、4回調停期日を重ねて遺産の範囲が確定しない場合には、協議自体を打ち切られてしまいます。

 

このように、相続人が遺産を使い込んだかどうかが争われている場合には、遺産分割調停手続きで紛争を解決させることは極めて困難です。

 

訴訟

遺産の使い込みが問題となっている場合の、ストレートで確実な解決方法は、民事訴訟です。

訴訟での相手方への請求の方法は、不当利得返還請求と不法行為にもとづく損害賠償請求があります。

請求の内容はほとんど同じですが、違いが出るのは消滅時効です。

不当利得返還請求権の時効は、行為時から10年間です。

 

これに対し、不法行為にもとづく損害賠償請求権の時効は、損害及び加害者を知ってから3年間です。

そのため、遺産の使い込みが疑われる時期から長期間が経っている場合には、不当利得返還請求を選択したほうが良いと言えます。

 

訴訟は調停とは異なり、双方が合意しないため手続終了、ということがありません。原告、被告がそれぞれ主張立証活動を繰り広げた上で、必ず最終的にどちらがいくら勝つのか決着が付きます。

 

もちろん、訴訟手続の中で和解の話合いが行われることも多いですが、和解が成立しない場合には判決が待っているため、調停の際は全く話し合いに応じようとしなかった当事者でも、訴訟手続ではじっくり検討することが多いです。

この、調停にはない強制力が、訴訟のメリットの一つです。

 

相続財産の使い込み調査を弁護士に依頼するメリット

資料収集がスムーズ

被相続人の遺産に関する資料の収集を、ご自身で行うのは非常に時間や労力がかかります。

そのうえ、金融機関や保険会社の中には、開示を求めても中々応じてくれなかったり、煩雑な手続きを要求してきたりする会社も多く、個人ですべての資料を収集するのは限界があるでしょう。

 

弁護士に依頼すれば、これらの手続を全て弁護士が行いますので、スムーズです。

 

仲の悪い親族同士で直接話さなくてもよい

遺産の使い込みをめぐって激しい感情的な対立関係にある親族同士の間では、顔も見たくない、口もききたくないと思うことも多いでしょう。

弁護士に依頼をすれば、交渉の窓口は全て弁護士になり、仲の悪い親族と話をする必要はありませんし、直接話をしたことで余計に感情的になってしまうことを防ぐことができます。

話が進みやすい

親族だけで話をしようとしても、相手がいい加減な対応に終始したり、また感情的になってしまったりして、話が進まないことが往々にしてあります。

 

この点、弁護士から連絡があった場合には、不誠実な対応をすれば訴訟などの法的手的続きに進んでしまいますから、相手方もきちんと対応せざるを得なくなります。

 

また、専門家である第三者は間に入ることで、親族間の感情面も緩和され、結果的に協議が進みやくなることが期待できるでしょう。

 

相手方の主張に惑わされない

法的知識がないまま相手方と協議をしても、使い込みなどに関する相手方の言い訳に流されてしまい、有効な対策ができないことがあります。

 

弁護士に依頼することで、相手方の主張が法的に妥当な主張なのかそうでないのかを理解したうえで対応できますので、相手方の主張に惑わされず、有効な対策を講じることができます。

 

法的手段での責任追及ができる

使い込んだ金銭の返還を求めても相手がそれに応じない場合には、

 

「訴訟」を起こして責任を追及する必要があり、実際訴訟をしなければ解決できないケースもたくさんあります。

 

相続に関わる訴訟手続を、専門家でない一般の方が行うのは非常に難しく、一歩間違えればかえって損害を広げることになりかねません。弁護士に依頼することで、交渉が決裂した場合に速やかに訴訟提起に移ることができますし、ご自分の相続人としての権利を確実に保全することができます。

 

遺産分割の手続まで含めて任せられる

遺産の使い込みの問題は、遺産分割を行う上での前提問題に過ぎません。

 

使い込みの問題が解決すれば、本題である遺産分割協議が控えています。

 

使い込みの問題は、訴訟などを経て感情的対立を激化させてしまうことも多く、その状態のままで親族間で遺産分割協議をするのは非常に困難ですし、実際なかなか進まないと思います。

 

弁護士に依頼することで、使い込み問題の後に控えている遺産分割についても、協議・調停・審判という手続きを見据えた法的対応をすべて任せることができますので、安心です。

 

早めの段階で相続問題に強い弁護士に相談することをお勧めします。

 

当事務所のサービス

当事務所では、「預貯金の使い込み・使途不明な出金の調査」を随時承っております。

相続案件の経験豊富な弁護士が、被相続人の預貯金の存否の調査、金融機関からの取引履歴の取得、取得した取引履歴に基づく入出金一覧表の作成、不審な出金にかかる伝票類の取得、医療・介護記録の取得など、使途不明金・使い込みの有無・金額を把握するために必要な資料を迅速に取得・作成いたします。

 

もちろん、預金以外の財産の使い込みに関するご相談もお受けしておりますので、安心してお問い合わせください。

 

弁護士費用

使途不明金・使い込み金の調査

サービス内容

他の相続人の方が相続財産を使い込んでいる疑いがある場合にご利用いただけるサービスです。

弁護士が、取引口座の存否の調査、金融機関からの取引履歴の取得、取得した取引履歴に基づく入出金一覧表を作成、不審な出金にかかる伝票類の取得など、使途不明金・使い込み金の有無・金額を把握するために必要な資料を取得・作成します。

費用
加算項目
22万円

・調査対象となる金融機関が6つ以上になる場合、対象金融機関が1つ増えるごとに、2.2万円(税込)を加算

・取引履歴の取得期間が5年を超える場合、調査対象口座数×1.1万円(税込)を加算
・上記サポート料金以外に、残高証明書、取引履歴、入出金にかかる伝票類、医療・介護記録など必要資料を取得するための金融機関、医療・介護機関等への手数料、弁護士法23条の2に基づく照会のための弁護士会への手数料、郵便代、交通費等の実費が発生

 

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