頑な相手に対して訴訟を提訴し依頼者も納得する金額の遺留分を獲得した事例

依頼者情報

依頼者:被相続人(母)の二男・長女

相手方:被相続人の長男

争点別:遺留分を請求したい

遺産額:数億円

遺産の種類:不動産、預貯金

解決期間:約2年

 

事案の内容

依頼者の母(被相続人)は、公正証書による遺言を残していました。その内容は、相続財産の中で最も価値のある土地を長男(相手方)に相続させるという内容でした。

依頼者は、遺言の無効を主張しつつ、その主張が通らない場合に備えて、あらかじめ遺留分減殺請求(相続法改正前)をしておきたいとのことでした。

 

当事務所の活動内容

被相続人の認知能力には全く問題がなかったことから、公正証書遺言の無効主張は、まず成り立たないと思われました。したがって、本件の最大の争点は、駅近の商業地域にある土地の実勢価格の評価と判断いたしました

 

ところで、本件土地の上には相手方が経営する会社名義の建物が建築されていました。そのため、相手方は遺留分の計算にあたって、更地価格から7割にも及ぶ割合の借地権価格相当額が土地の評価額から控除されるべきであると主張していました。

しかし、相手方から被相続人に対して地代が支払われていた証拠は薄弱でしたので、当方はそのような高額な借地権が認められる余地はないと主張しました。

 

結果

当初、調停による話合いを試みましたが、相手方がまったく譲歩の姿勢を示さなかったことから、当事務所では、事件を速やかに訴訟に移行させました。

訴訟においては、地代支払いの有無について証拠に基づく客観的な判断がなされ、裁判所から、当方に有利な心証が開示されました。これにより、中間的な金額よりもやや上回る金額の遺留分額の支払いを認める内容の和解を成立させることができました。

 

事件処理のポイント

訴訟というとハードルが高そうですが、話合いが難しい場合には和解するためのひとつの選択肢として訴訟を選択する場合もあります。

この事案の相手方は、調停ではまったく歩み寄りの姿勢を見せませんでしたが、訴訟で裁判所から示された和解案はすんなり受け入れました。実際に判決を行う裁判官が、証拠の価値を客観的に判断した上で提示する中立的な和解案にはたいへん重みがあるからです。

 

この事案のように、調停でだらだら話し合いを続けるよりも訴訟に持ち込んだ方が早期の譲歩を引き出せる事案が相当数あります。そういった事案であるかどうかを見抜く力が早期解決のポイントになります。