遺言の無効を主張し依頼者が納得のいく金額の遺留分を獲得できた事例

依頼者情報

依頼者:被相続人(父)の二男

相手方:依頼者の兄

争点別:遺言無効

遺産額:数億円

遺産の種類:不動産、預貯金

解決期間:約2年

 

事案の内容

依頼者の父(被相続人)が、依頼者の兄(相手方)に遺産の大部分を相続させるという公正証書遺言を残して亡くなりました。

ただし、この遺言は末期癌に冒されていた被相続人が、亡くなる1週間前に慌てて作成されたものでした。しかも、被相続人は長く認知症を患っていたことから、遺言の有効性が極めて疑わしい事案でした。

 

当事務所の活動内容

被相続人に遺言能力がなかったことを立証するため、各種医療記録、主治医意見書、要介護認定資料、介護記録等を入手しました。

さらに、遺言作成の経緯や遺言作成時の被相続人の健康状態・生活状況等を明らかにすべく、遺言作成に深く関与していた銀行員や遺言作成に立ち会った証人に対する証人尋問を実施しました。

 

結果

遺言作成より前から相手方が被相続人を囲い込んでいたため、依頼者には遺言作成に至る経緯が全く不明でした。このことが原因で、当初、依頼者には相手方に対する大きな不信感がありました。

しかし、医療記録等の調査や関係者の証人尋問により真相が明らかになるにつれ、かえって依頼者の心理にも譲歩の余地が生まれました。他方で、遺言無効の点については、認知症の症状等について丁寧な立証活動をした結果、相手方に相当の脅威を与えることに成功しました。

その結果、遺言が有効であると仮定した場合(遺留分)と無効であると仮定した場合(法定相続分)の中間にあたる満足いく金額で和解することができました。

 

事件処理のポイント

本件では遺言以外に、死亡直前に行われた養子縁組の有効性にも疑問がありましたし、遺言が有効と判断された場合もその先には遺留分の問題がありました。

当事務所では争点を明確化するため、遺言無効を中心に訴訟を組み立てましたが、その過程で周辺のあらゆる事情も取り込んだ主張と立証をし、その結果として様々な事情を取り込んだ上での終局的な解決を得ることができました