依頼者情報
依頼者:被相続人の長男
相手方:依頼者の弟と姉
争点別:遺留分を請求された
遺産額:数億円
遺産の種類:預貯金、不動産、株式
解決期間:約1年6か月
事案の内容
依頼者の父(被相続人)が、長男(依頼者)に多くの財産を相続させるという遺言を残して亡くなったため、弟と姉(相手方)から遺留分侵害額の支払いを求める訴訟が起こされました。
長男は、被相続人と長年一緒に暮らし、家業である不動産事業を手伝って遺産の形成に寄与したことから、このような遺言が作られた経緯がありました。
当事務所の活動内容
遺産には多くの不動産があり、その中には大規模な収益物件も含まれていたことから、それらの評価が最大の争点でした。相手方は、遺留分を少しでも増やすため、価値の小さい不動産についても細かく評価を争う姿勢だったため、解決の長期化が心配されました。
そこで、当方は2、3の高額な不動産に絞って、評価を徹底的に争う戦略を採りました。
結果
訴訟では、想定したとおり、相手方から生前贈与の主張や不動産の収益の分配請求など、次々に追加の請求がなされました。これに対して、当方はいたずらに紛争を長期化させないよう、支払うべきものについては支払うとの姿勢で臨み、攻めるべき点と守るべき点のメリハリをつけて対応しました。
このようにして、通常であれば解決までに4~5年はかかっても仕方がないと思われる事案を、和解により円満に、かつ早期に解決することができました。結果として、依頼者が支払うことになる金額も低く抑えられました
事件解決のポイント
当初、相手方は一歩も譲らない姿勢でしたが、当方は、通常ならば相手方が準備するような資料であっても、客観的なものであれば、手間をいとわずに積極的に提出することにしました。
これは事案のポイントを、要領よく裁判官に理解してもらえるようにすることと、当方が積極的に事案の解決を図ろうとしている姿勢をアピールして、裁判官に好意を持ってもらう狙いがありました。
その結果、担当裁判官は、当方が提出した資料を上手に活用して粘り強く説得を図り、相手方から合理的な譲歩を引き出すことに成功しました。
このように、話し合いで解決することが望ましい事案においては、裁判官の理解を得て、相手方からの歩み寄りを促してもらえるように運ぶことが非常に重要となります。この案件は、このような方針が成功した事案でした。