不公平な遺産分割の提案を受けたが提示金額の3.5倍の遺産を取得できた事例

依頼者情報

依頼者:被相続人の孫、その父親(=被相続人の長女の配偶者)

相手方:被相続人の孫

争点別:遺産分割

遺産額:8000万円

遺産の種類:不動産(土地、アパートの共有持分)

解決期間:3年

 

事案の内容

遺産分割が済んでいないまま、関係者3名の相続が発生してしまっている事案でした。

ただ、遺産分割協議の対象となるべき遺産は、ほぼ全部が、依頼者の祖父(被相続人)のものでした。

遺産内容としては、土地が主なものでしたが、いずれの土地上にも、相続人ではない人の名義の建物が複数建っていました。

そのような中で、相手方から依頼者に、「不動産については相手方が全て取得して、残りの預貯金のみを依頼者が取得する」という一方的な提案の書面が、突然届いたということで、当事務所にご相談にいらっしゃいました

 

当事務所の活動内容

最初は、セオリーどおり、家庭裁判所における調停手続で、相手方と協議を行うことにしました。

テーマは、借地権があるかないか等、権利関係が非常に複雑な土地について、どのように評価するか、といった点でした(ひとつの土地の上に、所有者が異なる建物が複数存在していました)。

しかしながら、調停はもう一息というところで膠着してしまいました。

というのも、家庭裁判所では借地権の存否を判断できないので、先に地方裁判所でその点の確認を行ってきてもらいたい、との指示を受けたのです。それまでの調停は何だったのか、という感じでした。

 

もっとも、借地権については、地方裁判所できちんと判断してもらった方が当方の主張には有利な展開となるという読みもありました。

そこで、ここは一度仕切り直した方がよいと判断し、依頼者とも相談したうえ、地裁に借地権の不存在を確認する訴訟を提起することとしました。

 

結果

当事務所の予想どおり、地裁の裁判官の考え方が当方の主張に合致しました。そして、目標としていた金額(相手方の最初の提示金額の3.5倍)での和解をすることができました。

 

事件解決のポイント

家裁において調停手続を進めていると、「それは前提事実なので家裁では判断できない」「まず地裁で判断をもらってから家裁に来て欲しい」と突然言われることがあります(裁判官の交代が原因だと推測されます)。

このような場合も、あくまでも調停手続の中で何とか打開策を探る方が望ましいと思われます

ただし、状況によっては、本件のように必ずしも調停手続内での解決にこだわらない方、が交渉力がアップする場合があります

この点は、プロである弁護士の見極めが必要になる箇所です。