土地の評価額を相手の主張よりも高く評価させ遺留分の金額を増額することが出来た事例

依頼者情報

依頼者:被相続人の長女

相手方:被相続人の長男、二男

争点別:遺留分を請求したい

遺産額:2億円(借地権を特別受益に含んだ場合)

遺産の種類:不動産(土地)

解決期間:1年8か月

 

事案の内容

依頼者の父親(被相続人)が亡くなりました。

遺産の大半を占めていたのは都内の土地でしたが、この土地には、父親の生前に、長男と二男が共有の建物を建てて居住していました。

そのうえで、父親は、長男と二男に全ての財産を2分の1ずつ相続させるという内容の公正証書遺言を残していました。

 

長女である依頼者は、遠方に嫁いだこともあり、父親との生前のやり取りの中では、自分は相続する気はないということを伝えていました。

ただ、依頼者としては、今の生活状況からすると、やはり遺留分を請求したいということで、当事務所にご依頼がありました。

 

当事務所の活動内容

この事案の最大の争点は、土地の評価をするにあたって、長男と二男が土地上に建物を建てていることを理由として、更地価格よりも安く評価すべきか、というところにありました。

 

一般的に、第三者に土地を貸して、その土地上に第三者が建物を建てている場合、土地だけの価値はかなり下がってしまいます(借地権の分だけ安くなることになり、この事案で問題になった土地の場合は、更地価格の30%になってしまいます)。

 

ところが、この事案では、土地を借りているのが、相続人本人ですので、相続人間の公平を図るという意味で、更地価格で評価すべきではないかということが問題になります。法律の言葉でいうと、借地権の設定が特別受益にあたるか、という話になります。

 

この点が最大の争点になるということで、調停申立ての段階で、理論的な観点からも、実質的な観点からも、丁寧な主張立証を行いました。

 

結果

丁寧な主張立証を行った結果、調停を担当する調停委員会から、当方に有利な見解を得ることができました。

 

相手方も、最初は更地価格よりもかなり安い評価を前提とした提案しかしていませんでしたが、調停委員会から説得されて、提案金額を上げざるを得なくなりました。最終的には、依頼者の納得できる水準の金額で、調停を成立させることができました。

 

事件解決のポイント

遺産に属する土地を、相続人やその関係者が使用している場合、考え方によって金額が大幅に変わることがあります

 

特別受益に関する現状の運用を前提とすると、必ずしも全ての場合について、実質的に公平な結果が得られるとは限りませんが、この事案では、適切な主張立証を行うことで、実質的公平を図ることに成功したということになります。