対立が激しい姉妹間での遺産分割を依頼者の納得度が高い結果で着地させた事例

依頼者情報

依頼者:被相続人の長女

相手方:被相続人の二女

争点別:遺産分割

遺産額:3000万円

遺産の種類:不動産(自宅マンション、収益用マンション)、預貯金

解決期間:1年6か月

 

事案の内容

依頼者の父親(被相続人)が亡くなり、2人の姉妹が相続人となりました。

被相続人は、自分の死後について抽象的な希望を述べた手紙を書いておられたものの、法的な効力のある遺言書は残されていませんでした。

 

遺産としては、マンション2室のほか、現預金がありました。マンションのうち1室は被相続人の自宅で、もう1室は他人に賃貸して賃料収入が上がっていました(賃料は相手方が受領中)。

 

こちらの姉妹間には、かなり昔から激しい対立があったそうです。

今回の相続についても、お父様の手紙に沿った形で遺産分割をしようと直接の話し合いを試みたものの、やはり冷静に協議することは難しかったそうです。そこで、当事務所に遺産分割交渉を代理してもらえないかとの依頼がありました。

依頼者のご希望は、具体的に何を取得したいというよりは、不公平にならないように分けたい、というところにありました。

 

当事務所の活動内容

当初は裁判外での交渉による解決を目指しましたが、相手方の希望で、家庭裁判所での調停が提起されることになりました。

 

分割方法については、まず、公平に分けたいという希望を満たすいくつかのパターンを依頼者と話し合って作りました。

そのパターンとは、

①不動産を実際に売却することができればその金額がもっとも公正なので、その代金を分配する。

②売却が実現できなくても複数の信頼できる業者から取得した不動産の評価をベースに基準となる額を決め、相手方がこれ以上の評価で取得するのであればそれでよい。

③逆に当方がこれ以下の評価で取得できるのであればそれでも良い、

といったパターンです。

そのほか、相手方が単独で受け取ってしまっているマンションの賃料の問題等がありました。これは、厳密には遺産分割とは別の問題(不当利得返還請求)ですが、この調停で解決することが適切でした。ただし、相手方は、賃料を受領できている現状維持を望んで、この点の話し合いには消極的でした。

そこで、この点については、マンションの管理会社を巻き込む形に持って行く等の工夫をすることにより、相手方に一体的な解決を促しました。

 

結果

前記のパターン②にしたがい、依頼者が満足できる水準の代償金の支払いを受けることが出来ました

また、相手方が既に受け取ってしまっているマンションの賃料についても一挙解決する形で、遺産分割を完了させることができました。

 

事件解決のポイント

遺産分割については、客観的にベストな分け方があるわけではないので、納得のいく解決をすることが重要です。

そのためには、このような分割方法であれば納得できるという、大まかなパターンを、事前にイメージしておくことが有益です。

 

また、相続事件については、関連する紛争が存在することがあり、相手方が、本体部分については解決を求めているものの、関連する紛争については必ずしも解決に積極的ではないということがあります。

そのような場合は、法的状況について検討し、相手方以外の第三者に対して何か請求ができないかを検討することで、一挙解決につながることがあります。