不利になっていた調停の依頼を受け、依頼者が納得する額の解決金を取得できた事例

依頼者情報

依頼者:被相続人の兄の子

相手方:被相続人の妹の子

争点別:遺産分割

遺産額:(底地の使用権原の評価によって)0~2000万円

遺産の種類:不動産(建物及び土地使用権原)

解決期間:2か月

 

事案の内容

叔母(被相続人)が亡くなり、相続人2名は、従兄弟同士の関係でした。

唯一の遺産と呼べるものは建物のみでした。被相続人は生前、これを第三者に賃貸して、月額30万円程度の賃料をあげていました。

その賃料は、被相続人が亡くなった後は依頼者が自分の口座で受け取っていました。しかし、底地についてはいろいろな経緯があり、相手方が所有していました。

このような状況の下で、相手方から遺産分割の調停が起こされました。

相手方の主張は、そもそも依頼者には底地の使用権原がないので、建物の賃料も不当利得として全額引き渡して欲しいというものでした。調停が押され気味に進行しているということで、当事務所に相談がありました

 

当事務所の活動内容

当事務所の検討の結果、この事案では「少なくとも被相続人が亡くなるまでは、底地を無償で使用させる」という約束(一般に使用貸借契約といいます)があったと考えられました。

ただ、被相続人が亡くなった後も、建物が朽ち果てるまで、永続的に使用できるという前提であったといえるかは、疑問もあるところでした。

そこで、依頼者と相談した結果、法的には建物が朽ち果てるまで底地を無償で使用させるという約束があったと主張し、底地の所有者である相手方に一定の解決金を支払ってもらって、建物を単独で相続してもらうという方向での調停を目指すこととしました。

 

結果

当事務所が関与するまでは、依頼者ご本人が調停に対応しておられましたので、率直に言って不利な展開でした。

しかし、当事務所が途中から代理人となり、無償で底地を使用することができる期間について、きちんとした法的主張を行ったところ、流れが大きく動きましたそして最終的には、相手方に建物を取得させる代わりに、今後建物から得られる賃料額を前提とした相当額の解決金を支払ってもらう、という調停を成立させることができました

 

事件解決のポイント

この事案で問題となった、親族間の使用貸借のように、過去にあった事実をどのように評価するか次第で、法的には色々な考え方があり得る問題があります。こういった問題については、話し合いの前提として、きちんとした法的主張を行うことで、有利な解決につなげることができることがあります。

そして、やはり調停をご自身で進められる際には、少なくとも1度は相続に詳しい弁護士に相談して進めなければ、今回のように不利な立場に立たされてしまうことが多くなります。