依頼者情報
依頼者:被相続人の長男
相手方:被相続人の二男、長女
争点別:遺産分割
遺産額:6000~7000万円
遺産の種類:不動産、預貯金、株式
解決期間:10か月(交渉を開始してから)
事案の内容
依頼者の父親(被相続人)が亡くなり、遺言書はありませんでした。
地方の旧家でしたので、不動産、預貯金、株式など相当額の遺産がありました。しかし、相続が発生してから10年近くもの間、遺産分割協議が行われることなく放置されていました。
依頼者は、いわゆる跡継ぎとしての立場にあり、先祖伝来の不動産を自分が相続して守っている心構えでおられましたが、不動産の取得と引き換えに相手方に支払わなければならない代償金が十分準備できず、心理的に萎縮してしまっていたそうです。しかし、相続の問題を次の世代に引き継ぐ前に、きちんと解決しておかなければいけないという考えから、当事務所にご相談いただきました。
当事務所の活動内容
前提として、相続財産としては建物が非常に数多くあり、中には未登記のものもありました。
そこで、まず現地確認を行ったうえで、現存する建物と登記上の建物の対応関係を整理しました。
そして、相手方に支払える代償金の額には上限がある、ということでしたので、これが少額で済むことを理論的に裏付ける材料を探しました。
この点、過去の通帳の記載から、被相続人から相手方に対して、かなりの金額の生前贈与がなされていることを発見できましたので、特別受益を丁寧に整理して、交渉目的を達成できる主張を構成しました。
さらに、当地においては、不動産の流動性が低かったことから、その評価についても、相手方に対する説得力を欠かない限度で、低額に抑えることにしました。
その結果として、理論的な裏付けのある形で、依頼者の予算の範囲内に収まるような提案ができることになりました。相手方に遺産分割案を提示する手紙についても、多数のバージョンを作成したうえで、最も効果的であると思われるものを送付しました。
結果
相手方に書面を送付したところ、相手方にも代理人弁護士が就任して、その内容について検討することになりました。
その結果、金額について若干の調整をしたのみで、依頼者の予算の範囲内の代償金を支払うことで、遺産分割を成立させることができました。
事件解決のポイント
この事案で、依頼者は、他の相続人に法定相続分どおりのものを支払える状況にないからということで、長い間、遺産分割をしないままにしていました。
ところが、思い切って弁護士に相談してみた結果、特別受益などを適切に考慮すれば、予算の範囲内での解決を理論的に裏付けられるということが分かったため、無事に解決することができたということになります。
このように、ご自身では難しいのではないかと思い込んでいても、弁護士に相談してみたところ、活路が見出せるということもありますので、まずはご相談していただくことをお勧めします。