法的に弱い立場であったが弁護士介入により依頼者が希望する遺産分割を実現させた事例

依頼者情報

依頼者:被相続人の子ども(姉)

相手方:被相続人の子ども(弟)

争点別:遺産分割

遺産額: 8000万円

遺産の種類:不動産

相続人の関係:きょうだい(姉弟)

解決期間:10か月

 

事案の内容

依頼者と依頼者のお母様(被相続人)は都内にある自宅兼アパートに、賃料収入を得ながら暮らしていました。

 

お母様の生前、依頼者は北海道に住む弟と共に、”母親が亡くなった場合はこのようにして遺産を分け合いましょう”、という内容の念書を作成していました。

その念書は、上記アパートを売却し、売却代金を姉弟で折半する、という内容でした。

 

その後、依頼者のお母様が亡くなり、念書通りの遺産分割がなされるはずでしたが、依頼者は自宅兼アパート(不動産)を売却せず自分が相続したいと思い直し、当事務所へ相談にいらっしゃいました

 

当事務所の活動内容

相手方(依頼者の弟)と取り交わした念書は、法的に効力のある形式で作成されており、違約金の条項なども盛り込まれていて覆すことが難しい状況でした。

 

また、依頼者には、不動産を取得する代わりに相手方へ代償金を支払う、という金銭的余裕もありませんでした。

 

依頼者は過去に、相手方へ金銭的な援助を複数回行ったことがありました。

依頼者から、その金銭の返済として自分が不動産を取得することはできないのか、とご質問を頂いたのですが、内容を詳しくお伺いすると、過去の金銭的援助の返済期限が時効にかかっていたため、債権の主張が認められない可能性が高いと判断されました。

 

しかし、引き続き依頼者からお話を伺う中で、相手方は現在も金銭的に困窮していることがわかり、弁護士は、『相手方はすぐにでも現金が必要な状況なのではないか』と予測しました。

 

そこで、相手方には、今まで相手方に貸したお金は返済を全て免除することと、依頼者がすぐに渡すことが出来る現金(1千万円)を代償金として相手方に提示し、代わりに依頼者が不動産を取得することを認めてもらいたい、と主張しました。

 

結果

その結果、相手方からすぐに合意を得ることができ、

依頼者の希望通り、依頼者が不動産を取得する内容で遺産分割がまとまりました。

 

事件処理のポイント

弁護士に依頼するメリットの一つとして、「交渉力がある」ということが挙げられます。

 

この事件からわかるように、交渉において重要なことは、交渉の当事者のいずれかにタイムリミットがあるかどうかを見極めることです。

法律的に強い条件を持っていても、時間的余裕の無い方は、早期解決のメリットを選択されることが多くあります。この点をいち早く見抜くことが、交渉力の差に繋がります。

 

弁護士歴25年以上の経験から、相手の状況を見抜く力や交渉力には自信が有ります。

弁護士を選ぶ基準として、交渉力があるかどうか、を基準にされることをおすすめいたします。