父親から現金贈与を受けて購入したマンションが相続財産であるとの主張を斥けることに成功した例

依頼者情報

  • 依頼者:被相続人の長男
  • 相手方:被相続人の長女(依頼者の妹)
  • 争点別:遺産分割
  • 遺産額:3000万円
  • 遺産の種類:不動産
  • 解決期間:8カ月

 

事案の内容

依頼者は、30年以上の期間にわたって、所得の少ない父母の生活を一人で支えてきました。父(被相続人)は、依頼者が長年父母の生活を支えてきたことへの感謝の気持ちや、依頼者がこれからも父母の生活を支えることへの見返りとして、自らが所有する不動産を売却した代金を依頼者に贈与しました。

依頼者は、贈与を受けた金銭で自己名義のマンションを購入してそこに父母を住まわせて献身的な介護をした後、父を見送りました。その後、今度は母が施設に入居することとなったことから、依頼者は、このマンションを売却し、売却代金を母の施設の入居費用や介護費用に使おうとしました。

ところが、依頼者がマンションの売却代金を受領したことを知った相手方(依頼者の妹)は、「マンションは父の資金で購入したものであるから実質的には父の所有物である」などと主張して、自己の相続分に相当するマンションの売却代金の支払を求めて訴訟を提起してきました。

依頼者は、マンションの購入が10年以上前のことであり、自己の所有物であることの立証材料が少なかったことから、対応に苦慮して、当事務所に依頼されました。

 

当事務所の活動内容

この裁判では、マンションの真の所有者が争点となりました。マンションの登記名義が依頼者であっても、父が購入代金を支払ったのであれば、実質的な所有者が父であると認定される可能性はあります。

ところが、依頼者がマンションを購入したのは10年以上前であるため、依頼者がマンションの買主であることを示す売買契約書は残っていませんでした。また、依頼者は、父が所有する不動産の売却代金を自己の預金口座に振り込んでもらうことで贈与を受け、その資金でマンションを購入したものの、当時の預金通帳は残っておらず、銀行も10年以上前の取引履歴は開示してくれません。

そこで、当事務所は、法務局でマンションの移転登記を受けた際の資料を閲覧し、依頼者が真の所有者であることを示す資料を探しました。また、銀行ではなく、父の不動産を購入した不動産会社に連絡を取り、父ではなく依頼者の口座に売買代金を振り込んだ旨の記録を取り寄せることとしました。

 

結果

依頼者の希望通り、マンションが依頼者の所有であることを証明することができました。そして、依頼者が名実ともにマンションの所有者であることを確認する内容で、裁判上の和解を成立させることができました。

 

事件解決のポイント

マンションの所有者を示す一番の方法は、売買契約書や代金の支払履歴を確認することですが、あまりにも古い取引ですと、手元に証拠がないことがあります。そこで、法務局の資料や不動産会社の支払履歴など、アプローチの仕方を変えることで、依頼者に有利な証拠を集めることができました。

また、勝訴判決を得られる状況にあっても敢えて和解を選んだのは、将来の紛争を避けるためです。相手方との間で判決を得たとしても、次にお母様が亡くなった際に、相手方が今回と同様の主張をして紛争の蒸し返しになる可能性があったからです。そのため、わずかな解決金を支払うことで、相手方の請求を封じる和解を成立させることとしました。

弁護士に依頼することで、依頼者の方が思いつかない証拠集めの方法や、依頼者の方が思いつかない解決策を提示できることがあります。お困り事はぜひ当事務所にご相談ください。